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大津 宏康*; 田中 誠*; 土山 富広*
JNC TY8400 2000-006, 45 Pages, 2000/03
サイクル機構では、地層処分研究に係わる天然バリアの性能評価において、我が国の岩盤を亀裂ネットワークによりモデル化するために、我が国の岩盤における亀裂特性について調査研究を進めてきた。しかし、これまでに得られた情報は、釜石鉱山をはじめとした花崗岩が主体で他地域や異岩種に関する情報が少なく、我が国の岩盤における亀裂特性を論ずる上で十分でない。そこで、本研究では、日本全国のトンネルや地下空洞で測定された亀裂データを利用して我が国の岩盤における亀裂特性を明らかにするとともに、亀裂ネットワークモデルの信頼性について検討することを目的とする。本年度は、昨年度に引き続き日本全国のトンネル、大規模地下空洞、ダム基礎など10サイトで観察された亀裂データについて亀裂データベースを作成し亀裂特性の評価を実施した。その結果、亀裂のトレース長に関しては、数m数100mのスケールにおいてはトレース長の累積頻度が岩種に拘わらず対数軸上でほぼ一直線上に分布することがわかった。すなわち、第2次取りまとめで採用した仮定、亀裂の大きさは、べき乗分布に従う。の妥当性を裏付ける結果が得られた。
工藤 章*; 藤川 陽子*
JNC TJ8400 2000-010, 67 Pages, 2000/02
本書では、前半部分において「長崎原爆プルトニウムの放出と環境中の移動性」について、後半部分において「わが国のファーフィールドにおける放射性核種移行研究の到達点」についての研究成果を報告する。長崎県長崎市西山地区で450cmの深さまでの不飽和帯土のコアを採取し、90Sr、137Cs、239+240Puの鉛直分布を決定した。その結果、大部分の放射性核種は、地表から30cmの層に見出された。しかしながら、90Srと239+240Puは、200cm以深の地下水からも発見された。137Csは、地表面から40cm位深、あるいは地下水中には見出せなかった。これらのことから、全239+240Puの3%は、土壌表層に留まる残り97%のプルトニウムよりも速く、土壌中を移行していることを示している。また、1945年の長崎フォールアウトを示す137Csと239+240Puのシャープなピークが、西山貯水池の堆積物コアから見つかった。一方、90Srはその堆積物中を移動するため、1945年に堆積した層にはピークを見出すことが出来なかった。さらに、239+240Puは1945年よりも古い年代の層でも見つかった。一方、年輪中の239+240Puは、堆積物コアとほぼ同様の分布をしていたが、極めて微量の239+240Pu(1%程度)は1945年の年輪よりも内側から発見された。これら事象より環境中の移動性239+240Puの存在を推定した。報告書の後半部分においては、「地層処分研究開発第2次とりまとめ」および現状の放射能移行評価研究について、特に天然バリア(例えば、ファーフィールド)および地表生態圏を対象とした放射能移行モデルを中心にレビューを行い、今後の地層処分の環境安全評価に関連して進めるべき環境関連研究の方向について検討した。その中では、Genericな安全評価研究からサイト特異的な安全評価研究への移行を中心に、説明的モデル、スクリーニングモデル、予測モデルといった目的別モデルの適用手順、モデル予測と安全評価にまつわる不確実性への対処手順、そして安全評価の予測に対する信頼性向上の手順としてわが国の野外条件下で取得された物質移行データによるモデル検証の必要性について議論を行った。
高橋 知之
プラズマ・核融合学会誌, 73(12), p.1361 - 1362, 1997/12
国際共同研究BIOMOVSII及びBIOMASSにおけるトリチウム移行シナリオについて概説した。
天野 光
プラズマ・核融合学会誌, 73(12), p.1360 - 1361, 1997/12
環境中におけるトリチウムの移行挙動をパソコンを用いて簡易に評価するモデルとして、これまでいくつか報告されている。大きく分けて、事故時評価用モデルと平常時評価用モデルとに分けられる。本論文は、我々が現在開発中のパソコンを用いて簡易に環境中におけるトリチウムの移行挙動を評価するモデルETDOSEについて解説したものである。トリチウムの化学形がHT及びHTOについて大気中の拡散にはガウスプルームモデルを用い、気象データを発生頻度により分配する。これらの大気中拡散、地表への沈着、HTであれば地表に棲息している微生物によるHTOへの酸化、土壌から大気への再放出、HTOとしての大気及び根からの植物への取り込み、土壌中でのHTOの移行、等がモデル化され、被ばく線量も算出できる。現在このモデルを用いて、IAEAが主催する国際共同研究BIOMASSでモデル検証を行っている。
大島 宏之
PNC TN9410 96-128, 82 Pages, 1996/04
高速炉においては,その稠密な燃料格子構造および高い出力密度ゆえ,燃料集合体局所異常/事故は安全評価上重要な事象として認識されている。ワイヤースペーサ型のバンドル体系では,過去の試験結果等により起因事象として厚みのあるポーラス状の閉塞を想定することが最も現実的と考えられるが,その事象評価には,閉塞の形状・大きさ・位置,閉塞物のポロシティ・材質等パラメータが多く,解析コードと介した検討が必要となる。本研究では,このポーラス状流路閉塞事象評価の精度向上を目的として,昨年度単相サブチャンネル解析コードASFRE-IIIに組み込んだポーラス状閉塞モデルの高度化を実施した。ここでは,閉塞領域内の熱流動現象をより忠実に再現するために,充填層理論に基づく圧力損失,熱伝導そして熱伝達に関する相関式を新たに組み込んだ。また,仏で行われたポーラス状流路閉塞模擬試験Scarlet-2のデータを基に機能検証解析を行うことにより,閉塞領域内の冷却材ピーク温度およびその発生位置を良好に再現できることを確認した。詳細なモデル検証は,今後予定されている水/ナトリウム炉外試験の結果を待ち,実施する予定である。
江沼 康弘; 山口 彰
PNC TN9410 93-213, 28 Pages, 1993/10
ループ型高速増殖炉プラント動特性解析コードSSC-Lの検証と高速増殖原型炉「もんじゅ」性能試験解析に適用する上での問題点を摘出することを目的として、「もんじゅ」特性試験におけるポンプ入熱 4.3MW時の2次系自然循環試験解析を実施した。試験データを分析した結果、準定常時に1次系での入熱が約 4.3MWであるのに対して、2次系での除熱は約 3.4MWでありバランスがとれていない。そこで、その差が系統放熱に等しいと仮定した解析を実施した結果、温度や流量の過渡変化がプラントの測定誤差範囲内で一致した。従って、SSC-Lで使用した圧損式は、底流量時においても十分な精度で適用可能であることが確認された。また、熱バランスがとれていない原因は系統放熱であると考えられる。今後は、個々の解析モデルの検証を継続するとともに、1次系を含む全体システムの自然循環力の評価を実施する。
松本 史朗*
PNC TJ1533 91-001, 160 Pages, 1991/03
本調査研究の目的は,環境面から見た核燃料サイクルに係る安全研究の体系化を図り,現在の研究の動向を整理評価することによって,将来にわたって必要な研究を明確にすることである。このため,本年度は上記目的達成のための第一段階として以下の調査を実施した。(1) 年令依存線量係数に関するICRPの検討内容の把握,生態圏移行モデルの検証研究(BIOMOVS)の状況の調査および主要な学術誌を対象とした関連文献の抽出による国内外における研究の動向調査。(2) 他分野の環境研究調査として,最近の酸性雨モデルの検討。また,上記調査を踏まえ,核燃料サイクル各分野の環境安全研究の体系化を図るための基礎的検討を行った。
広井 博*; 三宅 収; 佐藤 稔*
PNC TN941 82-37, 170 Pages, 1982/02
蒸気発生器伝熱管破断時の水噴出率計算用の計算コード(SWAC―11)の妥当性を検証するために,長い管路での高温・高圧水のブローダウン試験を実施し,定常水噴出率ならびに圧力,スラスト力の過渡変化が測定された。特に,スラスト力測定に「ばね・質量」モデルを適用することで極めて短時間の過渡変化データが得られた。これらの試験結果はSWAC―11と比較された。定常時の測定値に対しては,Moodyモデル,二相増倍係数に関しても検討した。得られた主な結論は,以下のとおりである。定常値に関して,SWAC―11は全体を通して概略よく合っているが,飽和水の高圧領域では水噴出率,スラスト力を1015%低く見積る。これは二相増倍係数にThomの相関を使用することで改善される。噴出開始から約5msec後の値に関しても,SWAC―11はほぼ妥当な値を予測する。サブクール水に対してもSWAC―11の流動モデルは適用できる。噴出直後のスラスト力は,WaveForceとB1owdownForceの合力Fであるが,そのFと初期圧力Poと断面積Sとの関係は飽和水条件ではF/S・Po1.0であり,データを包絡する整理式としてはF/S・Po=1.36であった。スラスト力,圧力の過渡変化全体の計算結果と測定結果とを詳細に比較すると,計算結果は単調な変化を示しているのに対し,測定結果はより複雑な波形であり,完全には一致しなかった。この傾向は,特にサブクール水条件で顕著であった。過熱蒸気による試験結果は,定常値および非定常値ともに,既報のガス噴出試験と同様に,測定値とSWAC―11の予測値は一致した。
安部 晋一郎
no journal, ,
近年、ミューオンの応用研究が様々な分野で活発に進められており、ミューオン核データの整備も検討されている。原子力機構が中心となって開発を進める放射線挙動解析コードPHITSには、ミューオンと物質との相互作用に係る物理モデルが実装されているが、負ミューオン原子核捕獲反応からの二次粒子生成に関して、計算値が実験値を過小評価する課題があった。本発表では、日本原子力学会2024年春の年会の核データ部会セッションにて、PHITSの負ミューオン原子核捕獲反応モデルの改良とその精度検証結果、またモデルの改良がミューオン起因ソフトエラーシミュレーションへ及ぼす影響について報告する。